大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 名前についての疑問は、翌水曜日にあっけなく解決した。
 エアプラス社系列ホテルのラウンジで向かいのソファに腰を下ろした朋也を前に、美空は目をみはった。

「初めまして――ではないよね、美空さん」

 初めましてと隣で言った彼の両親へ、朋也がさらりと訂正する。それから意味ありげに美空に微笑んだ。
 パイロットの制服とは違う、落ち着いたグレーのスーツ姿が、やけに目に眩しく映って落ち着かない。
 どうりで、美空も「沖形」という名前に引っかかったわけだ。
 父から見合い相手の名前も聞いていたのに、彼の名札を見たときに気づかなかったなんて、うかつだった。
 美空は脇の下に嫌な汗をかきつつ、笑顔を取りつくろった。

「……こんにちは」

 先日の発言自体を取り下げる気はないものの、大変に気まずい。