さっきのCAの女性のアプローチのしかたには、正直なところ美空も首をかしげる部分があったが、沖形にはひっかき傷すら与えられていないのだ。
「好きだとか付き合いたいと思う理由に、正解も不正解もないと思いますよ」
沖形が足を止めた。口走ったあとでしまったと思ったけれど遅い。
いくらおなじ社内の人間とはいえ、初対面の相手に食ってかかるのはやり過ぎだ。
頭の中では自分をたしなめるのに止まらない。
「見た目で好きになったっていいじゃないですか。好きになるきっかけなんて色々でしょう。見た目だけで判断されるのが嫌なら、あなたも中身を伝えればいいじゃないですか。あなたこそ、相手の中身も知ろうとしないで『うんざりする』だなんて――」
傲慢ではないですか?
そう続けそうになり、美空ははっと口をつぐんだ。それはさすがに言い過ぎになる。たまらなく恥ずかしくて、沖形の顔を正視できない。
「生意気な発言でした。失礼します……っ」
美空は頭を下げると踵を返したが「木崎さん」と呼び止められるのと腕をつかまれるのは同時だった。
(文句か、反論か……それとも怒鳴られる?)
ところが身構えた美空の頭に降ってきたのは、予想もしない言葉だった。
「朋也ね」
「……はい?」
ふり返った美空を、朋也と名乗ったパイロットが見据えた。
それまで、退屈そうな様子を隠しもしなかったのに、美空を呼び止めた視線が、気のせいか迷いを映して揺れている。
そのくせ、なにかを見極めようとでも言わんばかりに見つめられるのだ。美空は知らず肩を跳ねさせた。
「沖形朋也。覚えておいて、木崎未空さん」
「え……?」
目をみはる美空に対し朋也が目元をやわらげ、つかんでいた手を離す。
ネームカードは外したのになぜ下の名前まで知っているのかと、美空が口にするまもなかった。
(それよりも、覚えておいてと言われた意味がわからない……)
美空が混乱するあいだに、朋也は悠々と去っていった。
「好きだとか付き合いたいと思う理由に、正解も不正解もないと思いますよ」
沖形が足を止めた。口走ったあとでしまったと思ったけれど遅い。
いくらおなじ社内の人間とはいえ、初対面の相手に食ってかかるのはやり過ぎだ。
頭の中では自分をたしなめるのに止まらない。
「見た目で好きになったっていいじゃないですか。好きになるきっかけなんて色々でしょう。見た目だけで判断されるのが嫌なら、あなたも中身を伝えればいいじゃないですか。あなたこそ、相手の中身も知ろうとしないで『うんざりする』だなんて――」
傲慢ではないですか?
そう続けそうになり、美空ははっと口をつぐんだ。それはさすがに言い過ぎになる。たまらなく恥ずかしくて、沖形の顔を正視できない。
「生意気な発言でした。失礼します……っ」
美空は頭を下げると踵を返したが「木崎さん」と呼び止められるのと腕をつかまれるのは同時だった。
(文句か、反論か……それとも怒鳴られる?)
ところが身構えた美空の頭に降ってきたのは、予想もしない言葉だった。
「朋也ね」
「……はい?」
ふり返った美空を、朋也と名乗ったパイロットが見据えた。
それまで、退屈そうな様子を隠しもしなかったのに、美空を呼び止めた視線が、気のせいか迷いを映して揺れている。
そのくせ、なにかを見極めようとでも言わんばかりに見つめられるのだ。美空は知らず肩を跳ねさせた。
「沖形朋也。覚えておいて、木崎未空さん」
「え……?」
目をみはる美空に対し朋也が目元をやわらげ、つかんでいた手を離す。
ネームカードは外したのになぜ下の名前まで知っているのかと、美空が口にするまもなかった。
(それよりも、覚えておいてと言われた意味がわからない……)
美空が混乱するあいだに、朋也は悠々と去っていった。



