大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 返す返すも、到着が中部国際空港になったのは惜しかった。出発がスムーズであったなら、今ごろとうに帰宅して美空を抱きしめていたはずだ。

(これからも、今夜のような事態は起きるものと思ったほうがいい。だったら……)

 朋也も足を止めてなどいられないのだ。
 職場では、美空のそばを陣取る男がいるのだから、なおさら。


     *

 
 たっぷりとキスを浴びせられたら、美空の全身から力が抜けた。
 しかも、これまでのキスとはどこかが違った。
 どこがどうとは美空にもはっきり説明できなかった。
 しかしあえていうなら、美空を見つめる目がいつになく熱っぽかった。唇が肌を滑る感触が、これまでより繊細だった。
 それでいながら、美空の隅々まで自分のものにするとでも言わんばかりの触れかた。
 朋也は貪欲で執拗で、飽きることを知らなかった。
 決して激しくも強くもない。むしろ、優しくてていねいだ。
 しかし底なしの感情をぶつけられているようだった。吐息すら残らず飲みこまれ、たちまち息が上がる。
 頭がくらくらする。
 アルコールを摂取したときのような酩酊感に溺れ、甘ったるい息が漏れる。美空はすがるように朋也の首に腕を回した。

「くっそかわいいな……」

 普段よりわずかに余裕を欠いた粗野な声に、頬が熱くなる。首筋に舌が這わされると、美空はたまらなさに身をよじった。
 ただ翻弄されるだけの美空をからかうように、朋也がニットの襟ぐりを引っ張っては鎖骨を甘噛みする。それはそれでくすぐったい。
 でもこれで油断すると、またすぐに窒息しそうに甘く貪欲な責めが始まる。朋也の唇は徐々に際どいところに近づいていく。
 胸が甘く鳴ってしかたがない。