大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 それに、眉目秀麗とは彼のことをいうのだろう。
 シャープな顔の輪郭をラフにととのえられた黒髪が縁取っているのが、帽子の下からでもわかる。
 眉は凜々しく、すっと筋の通った鼻梁と薄い唇の配置も完璧だ。
 なかでも印象的なのは、切れ長の目だった。涼しげながら理知的な光を放っている。
 甘さがなく、どこかストイックな雰囲気。
 道ですれ違えば、十人中十人がまずふり返るに違いなかった。美空もつい見入ってしまう。

「いつもつれないんですから、今夜は一杯くらい付き合ってくださってもいいでしょう? 雰囲気のいいバーを見つけたんです」
「それはぜひ別の男とどうぞ」

 パイロットが断ったときには、ほかのクルーは気を利かせたのか先に行っている。
 のろのろと歩く美空の前方では、件のパイロットとCAふたりだけが立ち止まっていた。

「私は朋也さんをお誘いしてるんです。そろそろ、わかってくださいますよね……?」

 彫りの深い顔立ちをしたCAが上目遣いをして、パイロットの腕に手を添えようとする。制服の上からでもわかる豊満な胸がパイロットの腕に押し当てられる。
 つい見入っていたのに気づき、美空が慌てて目を逸らしたときだった。

「俺の忍耐が続くうちに、やめてくれ。うっとうしい。君もCAだろう、相手の機嫌くらい察せなくてどうする」

 パイロットが彼女の手を素っ気なく振り払う。
普段なら涼しげに響きそうな美声だったが、冷え冷えとした口調に美空は思わず肩をすくめた。
 彼女も同様だったらしい。信じられないという風に立ち尽くしていたが、やがて「今日は失礼します」と強張った声とともに早足で去っていった。
 なんとも気分のよくない場面だった。

「――で、そちらさんはいつまで見ているつもり?」