大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 一月に続き、二月も大雪などの悪天候で遅延や欠航が発生している。気を抜けない日が続いていた。
 つい先日も大雪で百便以上が欠航となったばかりで、オペセンでも朝から緊急の会議が行われたところだ。
 夜の十時半。
 並ぶモニター群を前に目を擦ると、瀧上に声をかけられた。

「試験勉強もほどほどにしとけよ。木崎なら気負わなくても合格するだろ」
「そんな余裕ないですよ。わたしよりもっと勉強してるひとが近くにいるのに、のんびりできませんって」
「……沖形?」

 瀧上が自席のモニターをチェックしつつ横目で尋ねる。美空ははにかんだ。

「はい。フライトだけでもスケジュールが詰まってるのに、機長になるための勉強もこなしていて。才能もあって、さらに努力もしている姿を見ると……わたしも置いていかれないようにしないとって身が引きしまります」
「……付き合っているのか」
「えっ……実は……はい。パイロットとなんてあり得ないと思ってましたし、近づきたくなかったはずなんですが、なんでか……鍵をこじ開けられてしまいました。心の、と言ったら青臭いですけど」

 しかもこじ開けられて初めて、美空は自分を覆っていた殻から抜け出すことができたのだった。