お見合いは一週間後の水曜日に決まった。お互いに不規則な勤務のため、平日になったのも自然な流れだろう。
美空は羽田空港の展望デッキで重いため息をついた。
今日は遅番だったが、仕事上がりに空港に寄ったのだ。
フェンスの向こうでは、すっかり夜の色に染まった滑走路に白い機体が浮かび上がっている。エアプラス社の機体は、「+」の字を流れ星に似せて描いた赤いロゴが特徴だ。
飛行機が大空を飛翔する姿を見るのは好きだ。
いいことがあった日も、落ちこんだ日も、美空はこうしてよく展望デッキまで来ては空を眺めるのが習慣だった。
「先方からお断りしてくれないかな……」
ぼやいてもしかたがない。
美空が展望デッキをあとにして、到着ラッシュが過ぎひともまばらになった到着ロビーを歩いているときだった。
やけに艶っぽく、絡みつくような声が耳に届いた。
「ねぇっ、沖形さん。このあと飲みに行きませんか? この便が今日の最後ですよね?」
「結構。明日もフライトがありますので」
「そう言っても、十二時間以上先じゃないですか。ばっちり調べてありますよ」
煌々と明かりのついた到着ロビーを、乗務を終えたらしいクルー(運航乗務員)の一団が美空のほうに向かって歩いてくる。
紺色の制服に身を包んだCAたちと、パイロットがふたり。
いずれも小型のキャリーケースを引いている。ぱっと目を引く華やかな集団は、エアプラス社の乗員だった。
艶やかな声は、そのうちの若い女性から発せられたもので、どうやら三本線の入った制服姿の背の高いパイロット――副操縦士に向けられたものらしい。
遠目にも、そのパイロットの一本芯の通ったような立ち姿は目を惹いた。
美空は羽田空港の展望デッキで重いため息をついた。
今日は遅番だったが、仕事上がりに空港に寄ったのだ。
フェンスの向こうでは、すっかり夜の色に染まった滑走路に白い機体が浮かび上がっている。エアプラス社の機体は、「+」の字を流れ星に似せて描いた赤いロゴが特徴だ。
飛行機が大空を飛翔する姿を見るのは好きだ。
いいことがあった日も、落ちこんだ日も、美空はこうしてよく展望デッキまで来ては空を眺めるのが習慣だった。
「先方からお断りしてくれないかな……」
ぼやいてもしかたがない。
美空が展望デッキをあとにして、到着ラッシュが過ぎひともまばらになった到着ロビーを歩いているときだった。
やけに艶っぽく、絡みつくような声が耳に届いた。
「ねぇっ、沖形さん。このあと飲みに行きませんか? この便が今日の最後ですよね?」
「結構。明日もフライトがありますので」
「そう言っても、十二時間以上先じゃないですか。ばっちり調べてありますよ」
煌々と明かりのついた到着ロビーを、乗務を終えたらしいクルー(運航乗務員)の一団が美空のほうに向かって歩いてくる。
紺色の制服に身を包んだCAたちと、パイロットがふたり。
いずれも小型のキャリーケースを引いている。ぱっと目を引く華やかな集団は、エアプラス社の乗員だった。
艶やかな声は、そのうちの若い女性から発せられたもので、どうやら三本線の入った制服姿の背の高いパイロット――副操縦士に向けられたものらしい。
遠目にも、そのパイロットの一本芯の通ったような立ち姿は目を惹いた。



