大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

「違う。甘やかしたがり。俺は美空に甘えてほしいの」

 そう言いながらも甘えた風な上目遣いが、絶妙に色っぽい。ふたりのときにだけ見せられる、朋也の気を許した姿。
 いつだって、一方的にドキドキしてしまう。自覚してやっているなら罪だと思うし、無自覚ならもっとひどい。
 本音を言うなら、美空も寂しいのだ。
 会える時間が減るのは寂しいと、ただそれだけを言えるなら、とっくに口にしている。
 だけど美空の場合、ただ寂しいだけではなかった。

(心から応援してるのに……どうしてこんな、もやもやした気分になるの)

 美空は自分の心から目を逸らし、肩口に頭をうずめている朋也の髪に指を梳き入れた。

「じゃあ、ひとつお願いがあるの。……いい?」
「なに? 言ってみて」
「あの……ね。父に会ってほしいの。ほら、お見合いしたときは断ったから……こうなったことを父にも朋也のご両親にも言わずにいるのは気が引けて。あっ、朋也のご家族に今すぐ会わせてほしいわけじゃないの。朋也の気持ち次第だし……でも、父には直接話をしておきたいの」

 引越しのこともあったので、電話では父にも簡単に報告してある。父はそれはもう、大変な浮かれようだった。
 娘に恋人ができたからではない。優秀なパイロットとの繋がりができたことを喜んでいるのは、電話口でも伝わってきた。
 朋也に一刻も早く会わせろと急かす父を止めるのは、至難の技だった。

『こっちにも順序ってものがあるの。朋也さんがパパに会いたいと思うようになってくれてからでないと。お互いの都合もあるし』
『それこそ、パパが娘をよろしくとひと言朋也くんに言えばすむ話だろう。朋也くんは忙しいんだ、パイロットを地上で振り回しちゃいけない』
『……そんなに、パイロットが大事?』