大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 肘をついたまま、朋也が上目遣いで見あげてくる。
 射抜くような視線に、絡めとられたかのようだった。
 顔が否応なしに火照る。だってこんなのは――。

(独占欲……ってこと?)

 朋也の好意を疑っているわけじゃない。触れられる手にも、唇にも、朋也からの想いが伝わってくるのだから。

(だけど、まさか独占欲まで向けられるなんて……ほんとうに?)

 恋情と独占欲は切っても切り離せないものだろうとは、美空にもわかる。好きな相手には自分だけを見てほしいという感情は、美空にもある。
 ただ、朋也はこと女性に関してドライだったから、彼に限っては別物のような気がしていたのだ。

(だからよけいに、胸が……っ)

 心臓が早鐘を打ち始める。
 意識したら、うなじの毛までぴりぴりしてきた。
 美空は思わず、両手で頬を押さえた。手のひらがひんやりするのはつまり、それだけ頬が熱いからだ。
 朋也は真っ赤になった美空になにを思ったのか、美空の髪を耳にかける。かと思うと、指先で耳をくすぐり始めた。

「だから、細かいことはいいから俺のために引っ越してよ。ここなら、美空が倒れてもすぐに対応できる。誰より先に、俺が美空の変化を知れる。そうしたい」
「……いいの? 邪魔じゃない?」
「今も、帰したくないと思ってるのに?」

 心外だと言わんばかりに、朋也がまた髪をきゅっと引っ張る。あらわな独占欲と、かすかな甘えのまじった目に、くらくらした。
 美空は髪を引かれるままに頭を屈める。

「わかった、そうするね。好き……」

 美空がキスしようとするより早く、伸びあがった朋也が美空の唇に覆い被さった。