大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが

 優しく甘い責め苦は、これまでより執拗な感じがした。
 むしろこれまでは、美空の様子をうかがっていたのかもしれない。そう考えるとしっくりくる。
 今夜の手加減のなさこそが、朋也の本気だろうか。
 美空はひときわ熱い息を吐いた。
 唇から逸れた朋也のキスが、なめらかな肌に降り注ぐ。
 朋也からは、夏の太陽を思わせる香りがした。海外帰りだからだろうか。揺さぶられては喘いでしまう美空と反対に、朋也は余裕そうに笑みを浮かべる。

「も、ダメ……っ」

 すべての力が抜けてくたりとシーツに沈むと、朋也も隣に寝転がった。朋也は、たった今まで美空を貪っていたとは思えない爽やかな笑顔だ。

「体力がぜんぜん違う……っ」
「美空も体、鍛えてみる?」

 腰に大きな手が回った。心臓が跳ねると同時に、忍び笑いを隠さない朋也のほうへ引き寄せられる。

「う、そうしようかな」
「じゃあもう一回する? 喜んで付き合うよ」
「もう! そうじゃないって知ってるくせに。それにほら、夕飯もまだだよ」

 乗務のあいだを縫ってジムに通っているという朋也にならい、美空も運動しようかと思っただけだ。
 朋也の胸板を軽く叩いて離れようとすると、かえってますます抱きこまれた。美空は、朋也の腕の中にすっぽりと収まる。
 さっきまでの「運動」の余韻を残した体は、朋也の肌にすんなりと馴染んだ。朋也の手が、美空の髪をまさぐった。

「まだ離したくないな……。メシはあとでよくない?」
「でもお腹! 空いてるよね?」
「こっちを食うから」

 言いながら、朋也がぱくりと美空の首筋を甘噛みする。
 くすぐったさと、まだ体の奥にくすぶっている官能を刺激された疼きで、鼻から声が抜けた。

「ダメ、これ以上は腰が砕けちゃう。帰れなくなるから!」
「それ、よけい帰したくなくなるんだけど。そうだ。そのことで、考えてたんだけど」

 朋也が肘をついて頭を起こした。

「美空もここに住まない?」