「迎えに来なくてよかったのに……」
小走りで改札を抜け、朋也に駆け寄る。ロングコートを羽織った下は、目の覚めるような深緑のニットと、グレーのデニム姿だ。制服姿もいいが、飾らない服装も驚くほどさまになる。つい見惚れてしまった。
「一刻も早く会わないと、俺がヤバかったってこと。燃料切れを起こす」
「燃費が悪い?」
「そ、だから常に補給させて」
笑った朋也の手が背中に回り、美空はうながされるまま体を寄せて歩く。
実のところ、燃料補給をしているのは美空のほうだと思う。
コート越しでも、朋也の体温を感じた。
それだけで胸の奥がほんのりと熱を持つ。
一昨日は、オペセンの休憩室でほんの数分話をしただけだった。こうして身を寄せ合うのは、およそ十日ぶりだ。
だからなのか、軽く触れられるだけで全身の肌がぞくぞくする。それだけではない。
(もっと、触れたいな……)
朋也に触れたい。頭の一部が焼け焦げたかのように、その思いが強くなっていく。
無意識に頬を擦り寄せると、「美空」とふいに肩を抱き寄せられた。艶を帯びた声色にどきっとする。
「夕食はあとにしていい?」
「え? うん。それはもちろんいいけど、もしかして体調悪い? 疲れてる?」
「いや、全然。そうじゃなくて、先にほしいものがあって」
「ほしいもの?」
「そう」
空気が切り替わった。
欲情で濡れた目に射抜かれて、鼓動が乱れる。
「……っ、え、と」
朋也の言わんとすることを察し、またたくまに顔が熱くなっていく。
(まさかわたし、顔に出てたわけじゃないよね……?)
もし物欲しそうにしていたとしたら、いたたまれない。
「いい?」
パンクしそうな頭でたっぷり迷ったあと、美空は朋也のコートの裾をつかんだ。それが答えだった。
小走りで改札を抜け、朋也に駆け寄る。ロングコートを羽織った下は、目の覚めるような深緑のニットと、グレーのデニム姿だ。制服姿もいいが、飾らない服装も驚くほどさまになる。つい見惚れてしまった。
「一刻も早く会わないと、俺がヤバかったってこと。燃料切れを起こす」
「燃費が悪い?」
「そ、だから常に補給させて」
笑った朋也の手が背中に回り、美空はうながされるまま体を寄せて歩く。
実のところ、燃料補給をしているのは美空のほうだと思う。
コート越しでも、朋也の体温を感じた。
それだけで胸の奥がほんのりと熱を持つ。
一昨日は、オペセンの休憩室でほんの数分話をしただけだった。こうして身を寄せ合うのは、およそ十日ぶりだ。
だからなのか、軽く触れられるだけで全身の肌がぞくぞくする。それだけではない。
(もっと、触れたいな……)
朋也に触れたい。頭の一部が焼け焦げたかのように、その思いが強くなっていく。
無意識に頬を擦り寄せると、「美空」とふいに肩を抱き寄せられた。艶を帯びた声色にどきっとする。
「夕食はあとにしていい?」
「え? うん。それはもちろんいいけど、もしかして体調悪い? 疲れてる?」
「いや、全然。そうじゃなくて、先にほしいものがあって」
「ほしいもの?」
「そう」
空気が切り替わった。
欲情で濡れた目に射抜かれて、鼓動が乱れる。
「……っ、え、と」
朋也の言わんとすることを察し、またたくまに顔が熱くなっていく。
(まさかわたし、顔に出てたわけじゃないよね……?)
もし物欲しそうにしていたとしたら、いたたまれない。
「いい?」
パンクしそうな頭でたっぷり迷ったあと、美空は朋也のコートの裾をつかんだ。それが答えだった。



