由良君は離さない

……でも、結局


押し寄せてくる不安と恐怖に抗えなかった私は
止めていた指を動かし、画面に触れた。



「…」

『………綴?』

「……由良君」



由良君は夜更かししないし
一度眠ってしまったら、朝まで熟睡するタイプ。


だから、着信があったとしても
きっと、起きることはないだろう。


そう思っていた私は


すぐに繋がった電話に
スマホ越しに耳に響いた
眠たそうな由良君の声に驚く。



『どうしたの?こんな夜中に。』

「…声、聞きたくて」

『……何かあった?』

「…」

『綴』



驚いたけど
声が聞けて、ほっとした。


ひとこと
由良君の声が聞けただけで充分だった。


でも


由良君が
あまりに優しく私を呼ぶものだから



欲が出た。