由良君は離さない

『母親』は向いてなかったんだと思う。


放任主義なあの人は、昔っから
私を置いて外へ出かけることが多かった。


産んでしまった義務感からか
生存確認と、金銭面での援助はしてくれるけど
それ以外はからっきし。


生活の諸々、学校関係の諸々
すべて、外部の人に頼んで、自分は一切干渉しない。



『私は自由にやるから、あなたも自由にやって』

『お互い、好きなように生きましょう』



と言う感じ。



愛情だとか、家族の絆とか
そんなものとは縁遠い人生だ。


機能不全家族には違いないと思う。


けど、衣食住や娯楽に困らないだけの
お金は与えてもらっている。


ただ生きるだけなら、何の問題もない。



『そういうもの』だと割り切ってしまえばいい。




「…」




………そういうものだと



割り切ってしまえたら、良かったのに。





「………由良君」




薄暗い部屋の中


ベッドの上に胎児のようにうずくまり
すがるように由良君の名前を呼んで


私はそのまま、眠りに落ちた。