由良君は離さない

「ねぇ、由良君」

「なに」

「由良君、私の事好き?」

「うん。好き」



私に顔を向けた由良君は
変わらず、無表情で答える。

求めていた返答に
私は上機嫌に笑顔を浮かべる。



「綴もでしょ?」

「うん」



由良君からの問いかけに
はにかんだ笑顔で言葉を返せば

そんな私を見て
無表情だった由良君の顔が、満足そうに動く。


由良君の表情を変えることができるのは
多分、私と、由良君の飼っている愛犬くらいだ。




由良君と私はお互い想い合っている。


恋愛感情。相思相愛。


だけど私と由良君の関係は、ちょっと特殊で


お互いに、ちゃんと
「恋愛感情」だと認識しているにも関わらず
由良君と私は「恋人同士」じゃない。