由良君は離さない

――……




「……え?付き合ってるわけじゃないんだ」

「みたいだよ。あんなに仲良いのにね」

「美男美女でお似合いなのにね」



ホームルームが始まる少し前
いつものように、廊下で由良君と話していると

廊下を歩いていた、他のクラスの子達が
私と由良君を横目で一瞥して

そんな事を話しながら
自分達の教室へと入っていく。



……由良君も、そうだけど
私も、人目を引く容姿だからか

あんな風に、なにかと話のネタにされやすい。



「じゃあ、綴。またお昼に」

「うん」



ああいう反応には慣れっこな
由良君と私は、あまり気にしない。


普通に会話を続けた後


手を振りながら、由良君を見送って
私も自分の教室へ向かう。



「おかえり」

「ただいま」



熱心に本を読んでいた梓が
戻ってきた私に気付いて顔をあげる。

笑顔を返して、梓の前の席に座る私。



「それ、面白い?」

「ホラーは初めて読んだけど、面白いよ」

「そっか」



高校入学から数ヶ月。


いまだに、周りからは
変に距離を取られるか、反対に詰められるかの中


中学から一緒の梓だけは、唯一
普通の距離感で、対等に接してくれる。