由良君は離さない

由良君と豆のおかげで
すっかり、気持ちが落ち着いた私は

食後でおなかがいっぱいだったことも
あいまって、眠気に襲われる。



「綴、寝るならベッド使って」



後片付けをしてくれていた由良君が
うとうとしだした私に気付いて、言う。



「…ん」



と、頷きながらも
私は豆を腕に抱き締めたまま
その場から動かない。


睡魔がベッドに向かう気力を奪う。


そんな私を見た由良君は
キッチンから戻ってくるなり
そのまま、私を抱き上げる。



「………重い、よ…」

「軽いから、大丈夫」



ぼんやり注意喚起するけど
由良君は、なんてないことない表情で
答えて、そのまま寝室へ向かって歩きだす。



「…」



腕の中には、湯たんぽみたいな豆。

そのあたたかさと

由良君が歩く度に、伝わる振動が
まるで、ゆりかごの中にいるかのように心地良く

私のまどろみを深くする。



やがて、私の意識は
そのまま静かに、夢の中へと落ちていった。