由良君は離さない

夜食を食べ終えた後



「あ、豆(まめ)」



ちゃっちゃっと廊下から
爪を鳴らす音が聞こえて


ドアの隙間から顔を覗かせたのは
由良君の愛犬、豆柴の豆。


豆柴だから、豆。


焦げ茶色のふさふさの尻尾を揺らして
にっこりと笑っているような表情を
浮かべている豆は、文句なくかわいい。



「ごめんね。夜中に来ちゃって
起こしちゃったね」



謝る私に近付いてきた豆は
そんなこと気にもせず

夕方ぶりの再会に
嬉しそうに尻尾を振っている。


そんな豆を膝の上に乗せて
頭を撫でれば、豆はそのまま
私の膝の上で丸まって、目を閉じる。



「…」



柔らかくて、あったかい

そんな豆に心が安らぐ。