由良君は離さない

――程なくして



由良君から『着いた』のメッセージと共に
玄関のチャイムが鳴って


玄関前で座って待機していた私は
すぐに扉を開ける。



「綴」



ずっと、そわそわ
落ち着きなく体を揺らしていた私だけど

由良君の姿を見たら、声を聞いたら
ほっとして、気持ちもやわらぐ。


けど、同時に


ぴょこぴょこ、あちこち跳ねた髪の毛に
寝癖のついた、寝起きのその姿に


眠っていた所を叩き起こしてしまったこと
真夜中に駆けつけてくれた由良君に
罪悪感が湧いてくる。



「……由良君、あの……ご…」



ごめんね、と言い切る前に
由良君は、私の腕を掴んで自分の胸に引き寄せる。


優しい香りがする
その腕の中で、少し目を丸くする私。


安心させるように、何回か私の頭を撫でた後
由良君は私から離れて、手を差し出した。



「行こ」

「………うん」