「何で命令される必要があるの?あなたもたかが1、2歳しか違わない同じただの高校生でしょう?」
「……っは、」
初めて見せた冷酷な無表情以外の虚を突かれたような顔。
驚いた表情は幼く、可愛く見えたが、もう次の瞬間には私に対してキレかけみたいな感じで睨み怒っていた。
絶対さっきの所で引くべきだっていうのは分かっていたけれど、曲がったことの嫌いな私はどうしても口を開かずにはいられなかった。
先輩には絶対服従みたいな世界ほんっと嫌いなんだよね。
こういうのが殺伐とした雰囲気を生むんだよ……だから、一言でも言ってやりたくなったのだ。
ま、こういう事ばっかするから人に憎まれ、敵が多くなってくんだろうけど。
「……で、そんな偉そうに他人に道を譲らせるあなたは何者なの?……まぁ、確かに道を塞ぎつつあった私も悪いけどね。」
ここまで来たら止まれないし、止めたくない。
私は彼を見上げ強く見つめた。
「………。」
あーこれ私が悪者になるやつだ、あと数秒後にはこの人絶対キレる……。
自分で喧嘩吹っかけておきながらだけど……私逃げようかな………。
私が目を逸らしたのと同時だった。



