「ねぇ漣空。」
「ん?」
「これをまいて火をつければ、燃えるんだよね?」
これ、というのは漣空が持ってきたポリタンクに入っている液体。
何かはよくわからないが、匂い的に多分ガソリンだろう。
「うん。………怖い?」
何かを試すように尋ねられた。
「ううん。怖くないよ、私…すっごくうれしい。」
心の底からの本心を言ったつもりだった。
「………恋暖。」
今まで真実を明かされた時からずっと何一つ顔を歪めることもなかった漣空の顔が苦しそうに歪んだ。
蓋が開けたポリタンクもこぼれそうでこぼれないギリギリの傾きでピタリと止まっていた。
……わかる、わかってる。
漣空にそんな顔をさせてる理由。
笑ってるはずなのに…自分では笑顔を浮かべているって認識なのに、頬は濡れて視界が歪んで見える。
___泣いているのだ。
「違うよ……っ、これ…私の嬉し涙……っ!だって私たちもうすぐシアワセになれるんでしょう?」
うれしいのに…うれしいはずなのに、一抹の恐怖を本能が感じ取っているのか涙と震えが止まらない。
自分で一緒に死のうなんて即答したのに。
最後まで自分自身がどうしたいかなんて分からなかった。ただ分かるのはこのまま生きていても私が幸せになることはない。
「…そうだな、やっと……俺らはシアワセになれる。」
そう呟いた漣空の目尻もわずかに濡れている気がした。
「なぁ、ほんとに良いの?」
これが最終確認、もう後戻りできない。言葉にはされなかったが、そう言われた。
「……いいの!!
幸せになるためにモドロウ?」



