「どけ。」
「…っは?」
冷ややかで背筋が凍りつくような低い声
照明によって異様に光る漆黒のピアス
透き通るような銀髪
感情のこもらない鋭い瞳
___まるで皇帝だった
「聞こえなかったか?……そこをどけ。」
そんな彼を前にしたせいか、金縛りにあったようにその場からどうしても動けなかった。
……なぜかまるで彼に惹きつけられる引力が存在するかのように目を離せない。
「そこのあなた早くどきなさい…っ!」
「彪乃さまが…!!」
「れの、逃げて!!その人は__」
「………。」
なんて後ろから色んな人の声が聞こえるが一切耳には入らなかった。
自分でもおかしいと感じるほど動けなくなっている。
何が起きているの……?
そんな呆然としたように固まっている私を見た彼はイラついたような表情を見せ、一言。
「最後の忠告だ。そこをどけ、追放するぞ。」
かなり怒ってるのか殺気が込められた鋭い瞳と視線が絡んだ。
「………。」
恐ろしい殺気でやっとのことで金縛りが解けた。
はいはい、ごめんなさい。今どきますよ………
なんて言うと思った?



