それからはずっと、2人の距離が近づいていくことに危機を感じ続けていた。
もちろん、2人が双子だからだ。
しかし2人が双子だと知っているのは、俺だけで張本人たちは知らない。
でも、これがこんなにも最悪な結末を生み出すなんて思ってもいなかった。
最終的に強引すぎる手段に出て2人に真実を話すことに成功したが、こんなの……2人を殺したのと同じようなことになってしまった。
………こんなんだったら、強引にもっと早く止めておけばよかった。
……いや、そんなの無理だったんだ。
本当に幸せそうな笑顔を浮かべ、漣空と話している恋暖を見てしまったら止めない以外の選択肢はなかった。
ずっと苦しんだあいつをもう苦しめたくなかった。
全ての事の発端、あの事件の後、恋暖は記憶喪失になり、その上親を失ったため養護施設に引き取られた。
でも、何一つ分からない混乱の中で、無邪気に笑っているたくさんの他人と過ごすのは相当ストレスだったのだろう。
一時期感情を失ったように部屋に閉じこもり、学校も来なくなった。
昔っから、いつでも瞳の奥に光がこもっていてとにかく生きていることが楽しいと言わんばかりに笑い続けていたあいつが。
……俺と漣空の眩しい光的存在だったあいつが。
いつか恋暖がまた天真爛漫な彼女に戻ることを願い、無理やりに元の世界へ引っ張り上げ、数年がかかりながらもなんとか前までの明るさを取り戻した。
……ずっと何をしても、あの瞳の輝きだけは戻らなかったけど。
………でも、あいつが…漣空に出会い、恋暖は全てを取り戻した。
漣空といるときの恋暖は、昔、幼い頃一緒にいたときの恋暖みたいだった。
無邪気に笑って、悲しかったら泣いて、漣空にからかわれたら大きな声をあげて。コロコロと表情が変わり、幸せさを全身で表していた。
瞳は四六時中輝くようになっていた。



