「ぜったい…ありえない……。」
病院を出た俺は小さく呟いた。
……ただの事故で起きた火事であんな記憶喪失になることはかなり低い……はず…。
…まさか、放火………?誰かに殺されかけた……?もしかしてこの火事、消えた漣空も関係してんのか…?
それとも………。
不審点が多く納得いかなかった俺は近所の家を回り、雲雀家について調べた。
俺が2人と仲が良かったことをみんなよく知っていたのか、いろいろな情報を聞かせてくれる人が出てきた。
2人の両親の素の姿、性格、仲の良さ。
そして漣空と恋暖のこと。
聞けば聞くほど噂好きの人からたくさんの情報が止まらないほどに湧き出てきた。
こうやって地道に情報を集め続け、約1年。やっと……、全ての真実がはっきりとした。
……真実は殺人でも事故でもなかった。
一瞬でも漣空を疑ったことに罪悪感を抱いた。
そんな自分を殴ってやりたかった。
隠されていた真実は誰かが暴いてはならないものだと隠されたような……悲しくて闇深いものだった。
そう___
恋暖と漣空の両親は一家心中をしようとしていたのだ。



