「…………ほんっと、お前予想外すぎ。こんなにも優しい人初めて出会った。」
彪乃漣空は目を丸くしてパチパチと瞬かせあと、どこか嬉しそうに目を細めた。
「そう?」
……私なんて自己満の正義感振りかざすだけの薄汚い人間だよ…?
「違う、そういうことじゃなくて。……俺の周りには、俺を見てくれる人なんていなかったから。」
「……え?…それ、あの時も言ってた、」
___どういう意味なの?
迷うように空を見つめたあと、ふっと口元を緩ませこちらを向いた。
「そーだな。……俺の話、してもいい?」
「…!うん。聞きたい、彪乃くんのこと聞かせて。」
迷いもなく即答した。
きみを助けたら、本当のきみを教えてもらうと心に決めていたから。
私の瞳を見つめたあと、コクンと頷いた彪乃漣空は遠くを見つめながら小さく話し始めた。
「……俺は、親がいないんだ。」
「え…、」
思いも寄らない告白に耳を疑った。
……彪乃漣空も親が、いない…?
私と同じ……一人ぼっちだったの……?



