「……違うよ。ただ、不器用すぎる人だなーって思っただけなの。」
「不器用?あれのどこが?自分の道をただ突き進んでる人でしょうが。」
心底何言ってるか分からないという風に顔をしかめた寧羽に思わず笑いが溢れた。
「んーん。あの人、ほんとはもっと優しい人だよ。喧嘩なんてするような人でも冷酷皇帝なんて呼ばれる人でもない。なのに捻くれてあんなことしてるからさ。」
「……っ、」
「……だから何?そばにいるって?」
「んー…、そういうわけじゃないよ?同情とか私嫌いだし。」
親がいないから可哀想って何度も同情され続けてきた私はかなり同情されることが嫌いだ。
同情されるくらいなら目の前で罵倒された方がマシと思うほど、ね。
「んーなんだろ、自己満の正義感?これ以上犯罪じみてること繰り返させたくないなーって。あと案外話してて楽だから?」
自分でもなんてあの人を構ってるかなんて分からない。
ただ、放ってはおけない。
本当にそれだけ……多分。うん。



