*
さっきの優紀怖かったな、とか考えながら、私はトイレの個室から出ようとした。
と、その時。
「ねーね、北条さんって、どう思う?」
え、私...?
私は、鍵を外そうとしていた手を止め、便器の蓋の上に座る。
クラスメイトの、木村さんだ。
「えー、なんかウザくない?」
今度は、佐藤さん?
「だよねー。なんだっけ?」
「ねーえー、ゆきぃ~。助けてー
私82点だったのぉ~!低すぎるよ~」
私、そんな猫なで声じゃないし。
そもそも、そんなこと言ってない。
「めっちゃ似てる~」
似てるわけないじゃん!
あーあ、最悪。
「82点って、別に低くないじゃん」
「ほんと。高い点数とったからって気取ってんじゃねぇよ」
「自分がすごいって、思ってるんだよ」
私が頭良くて悪かったですね。
本当に、最悪だ。
キャハハハ、と甲高い声で笑いながら、
木村さんと佐藤さんはトイレから出ていく。



