私は今日も、知らない


*
さっきの優紀怖かったな、とか考えながら、私はトイレの個室から出ようとした。

と、その時。


「ねーね、北条さんって、どう思う?」


え、私...?

私は、鍵を外そうとしていた手を止め、便器の蓋の上に座る。

クラスメイトの、木村さんだ。


「えー、なんかウザくない?」

今度は、佐藤さん?


「だよねー。なんだっけ?」

「ねーえー、ゆきぃ~。助けてー
私82点だったのぉ~!低すぎるよ~」



私、そんな猫なで声じゃないし。

そもそも、そんなこと言ってない。


「めっちゃ似てる~」


似てるわけないじゃん!

あーあ、最悪。


「82点って、別に低くないじゃん」

「ほんと。高い点数とったからって気取ってんじゃねぇよ」

「自分がすごいって、思ってるんだよ」


私が頭良くて悪かったですね。

本当に、最悪だ。


キャハハハ、と甲高い声で笑いながら、
木村さんと佐藤さんはトイレから出ていく。