次の瞬間、鼻の頭にヒヤンという感覚。
目を開けると、鼻の頭の辺りにフワフワしたものが乗ってるのが見える。
「え、何これ!?」
「はは、行儀悪いよキョン」
悪戯っ子のように、ニヒヒと笑う大ちゃん。
他の皆もあたしを見て笑った。
「ちょっと、なにすんの?!」
「つけてる方が、可愛いよ」
…………。
いつから?
あたしにとって、大ちゃんの“可愛い”が、こんなにも軽々しい言葉になったのは。
「……やだ」
「恭花?」
目の奥が熱くなった。
「可愛い可愛いって、言わないで!」
明らかにおかしいあたしの反応に、皆があたしの方を見る。
あたし、最悪だ。
「……トイレ行ってくるから、先に食べててっ」
俯いたままそう言って、バタバタと部屋を飛び出した。

