「残念だったね。君は、僕を狙うべきじゃなかった」

火を操って、僕は怪異を倒した。そのままくるりと颯真の方を向くと、颯真は驚いた様子で僕を見つめている。

扇子を閉じて扇子を帯に差してから、僕は姿勢を正した。

「……朱音?お前、朱音だよね?」

おそらく、僕ら四神と怪異が見えているであろう颯真に微笑んで、僕は口を開く。

「南の守護神、夏の象徴。我が名は朱雀」



「えっ、四神?」

朱雀の姿から人の姿に戻った後、僕は颯真とともに家へと戻って、真実を話した。

「うん。僕だけじゃない。碧さんも、玄ちゃんも、白も、全員前世は四神だ」

僕がそう言うと、3人は並んで颯真の前に立つ。

「北の守護神、冬の象徴。我が名は玄武」

「東の守護神、春の象徴。我が名は青龍」

「西の守護神、秋の象徴。我が名は白虎」

それぞれ、前世での名前を名乗った。

「我ら四神、怪異から人々を守るものなり」

青龍がそう言うと、颯真は「怪異?」と首を傾げる。玄武が怪異について説明をして、玄武自身が怪異の研究を行っていることを話した。

「どういうわけか、この町にだけ怪異がいるんだよなぁ……というか、颯真くんは何で怪異とか四神の時の僕らの姿が見えるの?」