颯真を連れてリビングへと行くと、皆は思い思いに過ごしていた。

青龍は椅子に座って小説を読んでいて、白虎はソファーに寝っ転がって漫画を読んでいて、玄武は何かを作っている。

「皆ぁ、この間言っていた子連れてきたよ」

僕が声をかけると、皆は一斉に僕の方を見た。

「……君が……初めまして。東條碧です」

「北原玄です」

「西崎白。よろしく」

青龍、玄武、白虎の順で自己紹介をする。そして、颯真も自己紹介をした。

そして、颯真をリビングにある家庭用の雀卓の前に連れていく。

「じゃあ、麻雀について教えるね」

僕は、そう言って颯真に麻雀の説明を始めた。



――チリン

空が暗くなりかけた頃。颯真と一緒に高校まで戻っていた時のこと。

怪異が出現したことを告げる鈴が鳴る。その音に、僕は思わず立ち止まった。

「……どうした?」

僕が立ち止まってから数歩前へと進んだ颯真が、僕の方を向く。

「って、朱音!後ろ!」

颯真が、目を見開きながら叫んだ。

後ろから感じる、前世の時から感じてきた嫌な気配。怪異の放つ、独特な瘴気。

「……叫ばなくても、分かってるよ」

振り向きざまに、前世の衣装を身にまとって――朱雀の姿になって、いつも帯に差している扇子を取り出して片手で広げる。