「国士無双」

僕が前世の時にした、最後の麻雀で出した役満の名前を言えば、青龍は「昔から、朱雀は運が良かったよねぇ」と言いながら、僕に点棒を渡してくる。

もう点数の計算が終わったみたいだ。

役の名前と形、その役が何翻かというのはある程度は覚えている。

でも、僕は点数の計算が出来ない。いつも、点数計算の出来る青龍か玄武にやってもらっていた。

「えー……なんと、僕、青龍はですね……あと100点しかないです」

東3局まで1位をキープしてきた青龍。

僕の役満に放銃したから、一気にラス目まで下がって、逆に僕が1位になった。

「……ということは?」

「朱雀が1位!」

青龍の言葉に、僕は「っしゃー!」とガッツポーズをする。

そして、ふと窓の外を見てみると、もう外は暗くなり始めていた。

……そろそろ、怪異の活動時間だ。

「怪異」。人に害を成す、悪霊的存在。人の目には見えず、悪さをする怪異から人々を守るのが、僕ら四神の仕事。

怪異は、この国……しかも、この町限定でいる。僕らは、四神としての力を駆使して、怪異を討伐しながら生活をしている。

怪異は、毎日出るわけじゃない。僕らで協力して張った探知結界に反応が出たら、怪異が出た合図だ。

――チリン