そう言って、颯真は笑った。

あぁ、良かった……ちゃんと、戻って来れたんだ……。

「……あの、朱雀さま。僕を助けていただき、ありがとうございました」

ぺこり、と颯真は頭を下げる。

「……えっと、颯真。一旦移動しようか」

僕がそう言うと、颯真は「そういや、朱雀さまは他の人には見えないんでしたっけ……」と顔を上げると恥ずかしそうに笑った。

颯真を連れて、僕らは人のいない場所へと移動する。

今までタメ口だった颯真が敬語を使っているから、違和感しかないけど、颯真なりの理由があるのだろうから僕は聞かない。

「……颯真。ちゃんと元の世界に帰ってこれたようで良かったよ」

「……ご迷惑をおかけしてすみませんでした。僕、皆様が怪異を倒した後、この世界にある僕の家の中にいて……戻ってこれたことに、物凄く安心したんです。やっぱり、故郷が1番……ですね」

「そうだよね。僕も数か月は、この街を離れていたから……戻ってきた時は、安心したなぁ……」

「……でも、別世界で暮らしていた時の方が楽しかったかも」

不意に颯真がそう言って、僕は思わず「え?」と声が出た。

「朱雀さまだから、言っても良いか。僕ね、家族も友だちもいないんです。ずっと、一人ぼっちで寂しくて……」