そう言って、僕は空になった弁当を片付け始める。

――チリン

僕の耳元で、鈴が鳴る音がする。

「……怪異?こんな時間に?」

『――皆っ!!』

白虎の、焦ったような声が聞こえてきた。

「どうした?白虎」

いつものように通信を繋げば、白虎は『怪異を発見!』と言う。

『白虎、場所は?』

玄武の問いかけに、白虎は『朱雀の通う高校の近く!鳥型の怪異!』とすぐに答えた。

「分かった」

僕は立ち上がると、校庭に向かって走り出す。

「朱雀!?」

僕の後を、麒麟様が走って付いてくる。

「……怪異が、この高校の近くにいるそうです」

「ほう……お、朱雀。あれではないか?お主の言う怪異は」

麒麟様の言葉に、僕は動きを止めた。麒麟様の方を向くと、麒麟様は校舎を見上げていて、僕も見上げる。

屋上のフェンスの上に巨大な鳥型の怪異がいて、僕は「多分、あれだ……」と呟くと、朱雀の姿へと戻ると扇子を開いて羽を出す。

……全部の記憶が戻ってから、扇子を開かないと羽が出せないことに凄く違和感を感じるようになった。

普段なら、扇子を開かなくても羽の出し入れは自由に出来るから。そもそも、扇子がなくたって全ての術は使えるし。

そんなことを考えながら、僕は麒麟様を抱えて空へと飛び上がった。