「……それが過去夢だって言ったら、颯真くんは信じる？」

麒麟様がそう切り出して、僕は驚く。

「……そうだなぁ……最近、その街が夢に出てくるようになったから、もしかしたら信じるかもしれないね」

そう言って、颯真は微笑んだ。その時、チャイムが鳴って、颯真は席替えで離れてしまった自分の席へと戻る。

僕と麒麟様は、1番後ろの席で隣同士になった。

『朱雀、昼は人目のないところで2人で食べよう』

麒麟様が、前みたいにメモ帳を見せてくる。僕が頷くと、麒麟様は無言で頷いた。



僕と麒麟様は、昼休みになってすぐに弁当を持って人があまり通らないような場所へ移動する。

「いただきます」

手を合わせて、僕と麒麟様はご飯を食べ始めた。

「……麒麟様。なぜ、颯真にあのようなことを聞いたのですか？」

「僕が、それが過去夢だったら？って聞いたやつか？」

僕が頷くと、麒麟様は「どう答えるのか、ちょっと興味があったからな」とイタズラっ子のような笑みを浮かべる。

「……真実を言い出すんじゃないかって、ヒヤヒヤしましたよ……」

僕がそう言うと、麒麟様は「でも、これで颯真が本来の記憶を思い出そうとしておることは分かったであろう？」と笑った。

「……まぁ、そうですね……」