「……ここはお主らにとっての異世界で、お主らがここにいるのは、とある怪異の仕業じゃ。怪異がこの世界にいるのも、その怪異の仕業じゃな」

「…………もしかして、穴のせいか……」

玄武が、1人で納得する。白虎が「玄武、どういうこと?」と首を傾げると、玄武は説明をしてくれた。

「ずっと気になってたんだ。この街にだけ、怪異が存在する理由を。怪異は餌を必要としない代わりに、魔力を作って生きているんだ。僕ら四神が能力を使用する時に使うのと同じやつね。ただ、怪異が必要な魔力は、四神が使う魔力とは生み出し方が違うんだよ。その魔力は、フォルスティアの空気中にしか含まれていない物質がないと生み出されない……」

玄武は一旦言葉を切ると、再び言葉を続ける。

「麒麟様に出会ったことで全部思い出したんだけど……異世界に通じる穴が開いたことによって、フォルスティアの空気がこの街に漏れたから、この街限定で怪異がいるのかもしれない」

……異世界に、通じる穴?何かを思い出せそうで、思い出せないな。

そして、再び玄武は言葉を切ると今度は言いづらそうに話を続けた。

「それから、もう2つ怪異には魔力の供給方法があってね。1つが怪異同士で、魔力を供給し合う。そして、もう1つは――魔力を持つ人間から奪う」

「魔力を持つ、人間……稀に魔力を持つ人間が生まれることがあって、その人間は四神や怪異を見えることがある。そのため、神の従者になることがある……だっけ?」