「……お主の気まずそうな顔を見たら、朱雀としての記憶があるって確信したわ」

そう言って、麒麟様はクックックッと笑う。前世の時から変わらない、笑い方だ。

「それに、見ておったぞ。あの、颯真とやらに自己紹介をしていたところを」

……数日前の件、見られていたの!?

「あ、そうだ。朱雀に……いや、四神に一つ、伝えておこうと思う。颯真とやらが、四神や怪異を見える理由についてな」

麒麟様は、そう言ってニヤリと笑った。



「僕にも神様としての記憶はあるし、術も使える」

あの後、僕は麒麟様を連れて家に帰った。皆に、麒麟様が転校生として僕のクラスに来たことを話す。

「……麒麟様。教えてください。颯真が四神や怪異を見える理由について」

「……その前にだな。そもそも、君たちはどうしてこの国におるのか知っとるかの?」

「……そ、れは……」

青龍が、言葉を詰まらせる。誰も答えられないのを見て、麒麟様は息を吐き出した。

「まずは、そこからか……お主らは、四神としての記憶を前世の記憶として捉えておるようだが、実際は違う。今も、お主らは“四神の国フォルスティア”に住む四神だ」

四神の国フォルスティア……あぁ、そうだ。僕の住んでた国は、そんな名前だったな。

フォルスティアは、僕ら四神が守護している国で、5つの町からある。

北の街を玄武が、東の街を青龍が、南の街を僕が、西の街を白虎が、中央の街を麒麟様が守護をしている。