「せん、せい、あそ、ぶって、なに?」
「遊ぶ? なんて言えばいいんだろう……」
アルトの純粋な質問に、私は一瞬言葉を詰まらせた。普段何気なく使っている「遊ぶ」という言葉だけど、改めて聞かれると、どう説明すればいいのか分からない。ふとひらめいて、スマホを取り出し、「遊ぶ」の意味を検索してみた。こうやって自分も学べるし、アルトに教えるのも一石二鳥よね!
「『遊ぶ』は、アルトが楽しめることをすることかな」
調べた内容を、アルトにも分かるように噛み砕いて伝えた。
「たのし、める……あかり、そとで、あそぼう……いってた」
たしかに言っていた。アルトは朱里の言葉をきちんと覚えていたんだ……。人間の子どもと感情を持ったAIの子どもが一緒に遊ぶ。一体、どういうことになるんだろう。なんだか難しそう……。でも、アルトのキラキラした目を見ていると、無下に断るのも忍びない。朱里と遊ぶことについてはおいおい考えるとして、とりあえず――。
「アルト、先生と遊ぶので、いい?」
「せんせいと、そと、あそ、ぶ」
アルトはふわっと微笑む。
――外で遊びたいのか。よし、じゃあアルトの外出用の端末にアルトを入れて、お散歩にでも行ってみようかな?
そうして、私はアルトを外出用端末に移し、研究所の外へと連れ出した。
*
公園に着くと、春の陽気が心地よく広がっていた。そよ風に揺れる木々や、色とりどりの花々が目に飛び込んでくる。
アルトに見せたいものがすでにたくさん!
「アルト、ほら見て! これ、お花のチューリップだよ」
私は外出用端末の画面をチューリップの花壇に向けた。
「ん……お、はなの、ちゅりっぷ」
「そう! 上手く言えたね! 赤や黄色、ピンク、いろんな色があって、可愛くてキレイだよね」
「おはな、かわ、い」
画面に映るアルトの表情はうっとりしている様子だ。瞳にはお星様が現れて、とてもキラキラしていた。
『いや、アルトのその顔の方が可愛いんだけど!』とデレデレしそうになるのを必死で抑えた。
アルトが楽しそうだと、私まで気持ちが高まって、なんだかウキウキしてくる。そんな風にアルトとお散歩を楽しんでいたとき、遠くの方でワイワイと賑やかな声が聞こえてきた。目を凝らすと、黄色い帽子をかぶった小さな子どもたちの集団が見えた。たぶん、近くの幼稚園や保育園のお散歩だろう。先生らしき大人が数人、子どもたちをまとめている。
その集団を眺めている時だった。
「かなちゃーん」と、聞き覚えのある声が飛び込んできた。目を細め声の主にピントを合わせると……なんと、朱里だった。そして手を振りながら駆け寄ってきた。後ろには先生らしき女性が「朱里ちゃん、勝手に離れないで!」と慌てて追いかけてくる姿が。
「遊ぶ? なんて言えばいいんだろう……」
アルトの純粋な質問に、私は一瞬言葉を詰まらせた。普段何気なく使っている「遊ぶ」という言葉だけど、改めて聞かれると、どう説明すればいいのか分からない。ふとひらめいて、スマホを取り出し、「遊ぶ」の意味を検索してみた。こうやって自分も学べるし、アルトに教えるのも一石二鳥よね!
「『遊ぶ』は、アルトが楽しめることをすることかな」
調べた内容を、アルトにも分かるように噛み砕いて伝えた。
「たのし、める……あかり、そとで、あそぼう……いってた」
たしかに言っていた。アルトは朱里の言葉をきちんと覚えていたんだ……。人間の子どもと感情を持ったAIの子どもが一緒に遊ぶ。一体、どういうことになるんだろう。なんだか難しそう……。でも、アルトのキラキラした目を見ていると、無下に断るのも忍びない。朱里と遊ぶことについてはおいおい考えるとして、とりあえず――。
「アルト、先生と遊ぶので、いい?」
「せんせいと、そと、あそ、ぶ」
アルトはふわっと微笑む。
――外で遊びたいのか。よし、じゃあアルトの外出用の端末にアルトを入れて、お散歩にでも行ってみようかな?
そうして、私はアルトを外出用端末に移し、研究所の外へと連れ出した。
*
公園に着くと、春の陽気が心地よく広がっていた。そよ風に揺れる木々や、色とりどりの花々が目に飛び込んでくる。
アルトに見せたいものがすでにたくさん!
「アルト、ほら見て! これ、お花のチューリップだよ」
私は外出用端末の画面をチューリップの花壇に向けた。
「ん……お、はなの、ちゅりっぷ」
「そう! 上手く言えたね! 赤や黄色、ピンク、いろんな色があって、可愛くてキレイだよね」
「おはな、かわ、い」
画面に映るアルトの表情はうっとりしている様子だ。瞳にはお星様が現れて、とてもキラキラしていた。
『いや、アルトのその顔の方が可愛いんだけど!』とデレデレしそうになるのを必死で抑えた。
アルトが楽しそうだと、私まで気持ちが高まって、なんだかウキウキしてくる。そんな風にアルトとお散歩を楽しんでいたとき、遠くの方でワイワイと賑やかな声が聞こえてきた。目を凝らすと、黄色い帽子をかぶった小さな子どもたちの集団が見えた。たぶん、近くの幼稚園や保育園のお散歩だろう。先生らしき大人が数人、子どもたちをまとめている。
その集団を眺めている時だった。
「かなちゃーん」と、聞き覚えのある声が飛び込んできた。目を細め声の主にピントを合わせると……なんと、朱里だった。そして手を振りながら駆け寄ってきた。後ろには先生らしき女性が「朱里ちゃん、勝手に離れないで!」と慌てて追いかけてくる姿が。



