公園に着くと広い芝生の上にチェック柄の黄色いレジャーシートを敷いた。シートの隅にプリンが入った小さなクーラーボックスとお弁当の入った手提げ袋を置く。そして北斗さんと同じタイミングで座った。
「はぁー、最高!」
立ったまま感激しているようすのアルトは空気を大きく吸った。そうだよね、たまにアルトを外出用端末に入れて散歩はしていたけれど、今日はいつもと違う。だって、直接公園の空気を感じたり、触れたりもできるのだから。
「アルト、座ろ?」
「うん!」
声をかけるとアルトは私の横に座った。
「アルト、映画で観たのはこんな感じ?」
「こんな感じだよ!」
満開な笑顔でそう答えるアルト。
アルトが満足そうで、良かった!
ふと辺りを見回すと、私たちのようにピクニックを楽しんで過ごしている家族が何組かいる。
私たちも家族のように見られているのかな? なんてことを考えている時だった。
「かなちゃん?」
名前を誰かに呼ばれ、私は声の方を向く。声の主は朱里だった。同年代と思われる女の子ふたりと手を繋いでいる。朱里の母であるお姉ちゃんも子供たちの後ろにいた。
「朱里? どうしているの?」
「きょうは、ゆらちゃんたちといっしょにピクニックしにきたんだよ」
「ピクニック、いいね!」
私はお姉ちゃんを見た。お姉ちゃんは私に近づいてくる。そして「北斗さんの子供?」とアルトをチラっと見て、耳元でささやいてきた。私はすぐに「違うよ、研究所の子」と否定した。
曖昧な答えだなと我ながら思う。
アルトの本当のことを説明できなくて、もどかしい。いつか説明できる時が来たら、すぐに真実を話したいな――。
「朱里だ、やっほー!」
私とお姉ちゃんが会話をしていると、アルトが爽やかな笑顔で手を振りながら朱里に声をかけた。私はふたりの関係が気になり、じっと見た。
「……」
あれ? 朱里の反応が微妙。何故かモジモジしている。もしかして、アルトの成長した姿を知らないから『誰?』とか今考えてるのかな。
「朱里、アルトだよ」と私が教えると「アルトなの!?」と驚きの声を上げた。
アルトは子供たちに向かって、ウインクした。
「アルト、可愛い!」
「アイドルみたい!」
朱里の友達たちが甲高い声で叫んだ。アルトは本当に可愛い。小さな子たちまで魅了してしまうなんて、本物の可愛い子だ。
アルトは子供たちとすぐに仲良くなり、ワイワイと盛り上がる。
「アルト、これからおにごっこやるんだけど、アルトおにになって?」
久しぶりに再会して、すぐに鬼になってって……。子供の言動は予測不能だな。だけど、きっとアルトなら――。
「いいよ! 十数えたら追いかけるね」
私の予想通りの返事をしていた。本当にアルトは優しくて、人が大好きで。良い子に育ったな。育てたのは私なんだよと、少し誇らしげな気持ちになった。
「じゃあ、またね!」と、お姉ちゃんもママ友たちの所へ戻っていった。
アルトと朱里の関係ばかり気になっていたけれど、秘密バレないかな? 見た目は完全に人間だし、アルトもバレたらいけない部分が分かっているし、きっと大丈夫だよね、と自分に言い聞かせた。今日だけは、特別に遊ばせてあげたい。
こんなこと考えずにいられる日々が来たらいいのにな。
「はぁー、最高!」
立ったまま感激しているようすのアルトは空気を大きく吸った。そうだよね、たまにアルトを外出用端末に入れて散歩はしていたけれど、今日はいつもと違う。だって、直接公園の空気を感じたり、触れたりもできるのだから。
「アルト、座ろ?」
「うん!」
声をかけるとアルトは私の横に座った。
「アルト、映画で観たのはこんな感じ?」
「こんな感じだよ!」
満開な笑顔でそう答えるアルト。
アルトが満足そうで、良かった!
ふと辺りを見回すと、私たちのようにピクニックを楽しんで過ごしている家族が何組かいる。
私たちも家族のように見られているのかな? なんてことを考えている時だった。
「かなちゃん?」
名前を誰かに呼ばれ、私は声の方を向く。声の主は朱里だった。同年代と思われる女の子ふたりと手を繋いでいる。朱里の母であるお姉ちゃんも子供たちの後ろにいた。
「朱里? どうしているの?」
「きょうは、ゆらちゃんたちといっしょにピクニックしにきたんだよ」
「ピクニック、いいね!」
私はお姉ちゃんを見た。お姉ちゃんは私に近づいてくる。そして「北斗さんの子供?」とアルトをチラっと見て、耳元でささやいてきた。私はすぐに「違うよ、研究所の子」と否定した。
曖昧な答えだなと我ながら思う。
アルトの本当のことを説明できなくて、もどかしい。いつか説明できる時が来たら、すぐに真実を話したいな――。
「朱里だ、やっほー!」
私とお姉ちゃんが会話をしていると、アルトが爽やかな笑顔で手を振りながら朱里に声をかけた。私はふたりの関係が気になり、じっと見た。
「……」
あれ? 朱里の反応が微妙。何故かモジモジしている。もしかして、アルトの成長した姿を知らないから『誰?』とか今考えてるのかな。
「朱里、アルトだよ」と私が教えると「アルトなの!?」と驚きの声を上げた。
アルトは子供たちに向かって、ウインクした。
「アルト、可愛い!」
「アイドルみたい!」
朱里の友達たちが甲高い声で叫んだ。アルトは本当に可愛い。小さな子たちまで魅了してしまうなんて、本物の可愛い子だ。
アルトは子供たちとすぐに仲良くなり、ワイワイと盛り上がる。
「アルト、これからおにごっこやるんだけど、アルトおにになって?」
久しぶりに再会して、すぐに鬼になってって……。子供の言動は予測不能だな。だけど、きっとアルトなら――。
「いいよ! 十数えたら追いかけるね」
私の予想通りの返事をしていた。本当にアルトは優しくて、人が大好きで。良い子に育ったな。育てたのは私なんだよと、少し誇らしげな気持ちになった。
「じゃあ、またね!」と、お姉ちゃんもママ友たちの所へ戻っていった。
アルトと朱里の関係ばかり気になっていたけれど、秘密バレないかな? 見た目は完全に人間だし、アルトもバレたらいけない部分が分かっているし、きっと大丈夫だよね、と自分に言い聞かせた。今日だけは、特別に遊ばせてあげたい。
こんなこと考えずにいられる日々が来たらいいのにな。



