アルトと交流しようと、ミライ創造研究所内にある、ニュータイプ研究室へ向かった。

扉を開くと、五歳の姪、朱里(あかり)が目に入った。なんと、大きなモニター画面に映るアルトに向かって無邪気に話しかけている。アルトは「えっと……あの……」と、言葉に詰まりながら手をモジモジさせ、眉尻を下げた困った表情を浮かべていた。

その姿を見ると、胸が締め付けられるように痛み、心配でたまらなくなる。急いでアルトの元へ駆け寄った。

「アルト、大丈夫?」
「……わかんない」

アルトはぽわぽわとした声でそう答えた。初めての状況に戸惑っているようだ。

「アルトってなまえなの? わたし、あかりだよ!」
「あか……り……?」

アルトが朱里の名前を繰り返す。アルト、私の姪の名前が覚えられたんだね、良かったね! いや、待って? そうじゃなくて……。そもそもなぜ朱里がここにいるの?

受付AIをすり抜けてこの部屋まで来たってこと?

そんなセキュリティで大丈夫なの? ミライ創造研究所!

そして、朱里の母親であるお姉ちゃんはどこにいるの?

脳内がハテナで埋め尽くされていると、背後で足音がした。振り向くと、北斗さんとお姉ちゃんが立っていた。北斗さんがここにふたりを入れたのか、と疑問は解決したものの――。

「北斗さん、お姉ちゃん! これ、どういうことですか?」

この状況は見過ごせない。だって、アルトが感情を持ったAIだということは、絶対に世間に知られてはいけない秘密なのだから。

 北斗さんとお姉ちゃんも何故か驚いたような顔をしていた。

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