ヤンキー高校に転入した私

思いがけず友達のような存在ができて安心していたが、私は次の問題に直面した。

「女子トイレがないんですけど……」

私は、トイレの前で立ち尽くしていた。トイレのマークはあるけど、女子トイレのマークは剥がされている。男子しかいないから、女子トイレも男子が使うことにしているようだ。

これでは私が使うトイレがない。探しに行こうとすると、ポケットに手を突っ込んだヤンキー2人が近づいてきた。

「お前が転入生か?女って本当だったんだな。」
「1組ったって、女じゃ使えねーよな。ははは。」

あからさまに絡まれてしまった。早くこの場から離れた方がいい。逃げようとすると、ぐっと腕を掴まれた。

「トイレの使い方、俺たちが教えてやるよ。」
「ちょっと、離してよ!」
「ほら、来いよ。」

これはヤバい展開だ。学校の中でこんなことになるとは思っていなかった。必死で抵抗するもグイグイと引っ張られてしまう。

「楽しそうじゃん。」
「げっ!大和さん!」

私の手を引っ張っていたヤンキーは、パッと手を離してあっという間にいなくなった。

「女子トイレは職員室の隣。」

大和くんのを見たら、ほっとしたのか足元からガクガクと震えがきた。あんなチンピラみたいなヤンキーなんて平気だと思ってたけど、全然平気じゃなかったらしい。

「……保健室行って休んどけ。」

大和くんが来てくれなかったらどうなっていたのだろうか。私は滲み出す涙を拭きながら廊下を走った。