ヤンキー高校に転入した私

「大和くん、私……」
「待て。言うな。」

言わせてもらえないのは想定外だ。言えないのは困る!私には告白のノルマがある!

「私、や……」
「待て!」

まさか大和くんも話があるのだろうか。もう付き合ってる人がいるとか!?だから告白させてくれないの!?

「ねぇ、大和くん……」
「黙ってろ。」

大和くんに連れて来られたのは学校の昇降口だった。試合で全員が校庭に出ているから誰もいない。心臓の音が痛いほど大きく響いている。校庭から聞こえてくる試合の喧騒を背にして、私は大和くんと向き合った。

伝えるなら今しかない。心臓の音はどんどん早くなる。走ってもいないのに息切れがする。好きだと言えば終わる……!意を決して伝えようとすると、私より先に大和くんが口を開いた。

「紗里奈……あ……」

ぎゃぁぁぁ!そこで止めないで!全部言って!好きじゃないでも、好きな人がいるでも、付き合えないでも、最悪嫌い……なんてことがあったら悲しいけど、とりあえずそれでもいいから全部言って!!私はもう耐えられなかった。

「私、大和くんのことが……」
「待てって言っただろ!」
「待てないよ!ドキドキして死にそうなんだから!私、大和くんのことがす……」

そこまでしか声に出せなかったけど、思いは届いたのかもしれない。私は目を閉じて、大和くんをぎゅっと抱きしめた。優しく触れたぬくもりは、言葉よりもまっすぐだった。