ヤンキー高校に転入した私

私は薫くんを侮っていた。色気が増し増しになった薫くんは、授業が終わるごとに耳元で色々言ってきた。

「紗里奈、好きだよ。」
「!?」
「ははは。可愛い。」
「!!」
「もっと顔見せて?」
「薫くん、やめて!」

そんなことを何度も言われたら、考えなきゃいけないことも考えられなくなる。その日の授業はほとんど頭に入らなかった。

薫に翻弄されて顔を赤くする紗里奈を、1組のクラスメイトたちは不安そうに見つめていた。

(薫さん、やりすぎじゃね?)
(わざとなんだろうけど、あまりにもさ……)
(大丈夫かな、大和さん……)

そして、クラスメイトたちは大和をちらりと覗き見た。大和は一点を見つめて石のように固まっている。

(大丈夫じゃねぇぇぇ!)
(俺らの大和さんがぁぁぁ!)
(どーすりゃいいんだよ!!)

1組の面々は、ひたすらあわあわしていた。