ヤンキー高校に転入した私

休み時間になって、私は恐る恐る視線を後ろへ向けた。窓際の一番後ろにクラスの男子たちが集まっている。その中心に学ランを全開にして腕組みをしている人がいた。

高校生とは思えない貫禄、他を寄せ付けないオーラ。他のクラスメイトたちと何かが違う。

(あれが……東条くん……?)

「大和が気になるの?」

突然私の前に赤い髪の男子がニョキっと現れた。このクラスには珍しく、学ランのボタンを上から下までしっかり留めている。

「俺は長谷川薫、よろしくね。紗里奈って呼んでも良い?」
「は、はい……」

髪色は派手だけど、薫くんは優しそうでヤンキーっぽくない。

「彼は東条大和。1組の組長だよ。」
「組長?」
「うん。クラスのメンバーは組長の指示に従うのがルール。まぁ、紗里奈は気にする必要ないと思うけどね。」

さすがヤンキー高校だ。絶対服従みたいな上下関係があるのかもしれない。

「わからないことがあったらなんでも聞いて。」
「ありがとう。」

普通に話せる相手がいてよかった。私はほっと胸を撫で下ろした。