ヤンキー高校に転入した私

先生は黒板に書く手を休めない。でも私は動揺してノートに書き写すことができなくなった。そして、教室の中もざわざわし始めた。

「俺たちも行くか?」
「どーせ5組のいざこざだろ?」
「あいつらにやらせときゃいーんだよ。」

先生は教室のざわめきも気にせずに授業を進めてしまう。

(この状況で授業は無理だよ……)

頑張って授業を受けようとしても、教室のざわめきと廊下の騒ぎが気になって集中できない。その時──

「静かにしろ。」

ちょっと低くて落ち着いた声が教室の中を貫いた。その一言で、教室の中がしんと静かになった。

「ありがとう、東条くん。さ、みんな教科書35ページですよ。」

その後は、どんなに廊下の外がうるさくなろうとも、教室の中は静かなままだった。廊下の騒ぎは気になったけれど、ちゃんと授業を受けることができた。

一言で教室を静かにさせてしまう東条くんとはどんな人なのだろうか。