ヤンキー高校に転入した私

その日の下校中、大和くんに無視されて凹んでいる私を薫くんが慰めてくれた。

「気にすんなって。大和はあーゆー奴っていつも言ってるじゃん。」

でも男子とはあんなに楽しそうに話すのだから、私とも少しくらい話して欲しいと思ってしまう。高望みってやつなのだろうか。

「紗里奈、あんな奴やめて俺にしない?」
「え?」
「俺、紗里奈のこと好きなんだけど。」
「何言ってるの、薫くん……」
「本気だよ、俺は。」

冷たい風が吹いてきて、私の髪とスカートを揺らした。薫くんはまっすぐ私を見つめている。

薫くんはいつも私を気にかけてくれる。登下校に付き添ってくれているし、すごく優しくて思いやりがある。でも──

「ごめん、薫くん……」
「だよな。ごめん、急にこんなこと言って。じゃあね、また明日。」

薫くんと一緒にいたら楽しいだろうし、きっと穏やかに過ごせる。でも私の気持ちは大和くんに向いたままだった。