ヤンキー高校に転入した私

「……さん……とさん……大和さん!」
「……んあ?」

クラスメイトたちは心配顔で大和の周りに集まっている。さっきから声をかけているのに、全然気づいてもらえなかった。

「大和さん、大丈夫ですか?」
「あ……あぁ……」

(全然大丈夫じゃねぇぇぇ!)
(もどかしいなおい!)
(早く告白しろー)
(そうだそうだ!)

大和は紗里奈のことが好きで、紗里奈も大和のことが好きなのだ。これはもう両想い間違いなしだが、紗里奈は大和の冷たい態度の理由に気づいていない。クラスメイトたちはじれったくて仕方がなかった。

「大和さん……無理しないでくださいね……」
「無理なんてしてねーよ。」

大和は過保護なまでに紗里奈を気にかけている。最近は、紗里奈と薫が下校した後、それとなく追いかけているのだ。

(もう告っちゃいましょ!ね?)
(大和さんが告れば一発だ!)
(紗里奈も待ってますよー!)
(言いてぇ!声に出して言いてぇ!)

クラスメイトはうずうずしながらも、組長に告白しろなんてことは言えず、奥手な組長を見守ることしかできなかった。