ヤンキー高校に転入した私

教室に入るとバッヂに気づいたクラスメイトたちに囲まれた。

「紗里奈、お前バッヂもらったのかよ!」
「まじか!」
「俺、もらうまで結構かかったんだぜ?」

このバッヂは何度か試合に出て、成果を出さないともらえないらしい。今は全員バッヂを持っているけれど、みんなそれなりに苦労して獲得したという。

「いいなー、紗里奈はー」
「紗里奈も試合出たら?」
「そうだな。お前ならすぐ成果をあげられそうだ。」

試合に出ず、何も成果を出してないけど、バッヂをもらえた。やっぱりちょっとだけ、大和くんは私を認めてくれたのかもしれない。

「大和くん、これありがとう。」

私は大和くんに借りたハンカチを差し出した。大和くんは無言でハンカチを取り上げると、私に背を向けて立ち上がった。

(やっぱり……そうですよね……)

あからさまに拒絶されてしまい、胸がズキンと痛んだ。

昨日あの場所に来てくれたのは、私を助けに来てくれたのかと思った。バッヂをくれたのは、認めてくれたからだと思った。でも、違ったみたいだ。

(だったら、助けになんて来ないでよ……)

ただでさえ好きなのだから勘違いしてしまう。気に入らないならバッヂなんて渡さないで欲しい。これ以上考えたら泣きそうだ。私は教室を飛び出した。