ヤンキー高校に転入した私

それからというもの、クラスメイトたちは何かにつけて窓際に座る大和の様子を観察した。

「大和さん、紗里奈と話さないんすか?」
「……あいつのことは、薫に任せてる。」

紗里奈が薫と登下校していることはクラスメイトも知っている。薫が紗里奈のサポートをしていることも知っている。でも──

(めちゃくちゃ心配してるくせにぃぃぃ!)

クラスメイトたちは顔が緩んでしまい一斉に顔を隠した。

紗里奈が転入してきた当初、女の子の転入生だからと見世物のように紗里奈に絡んでくる連中が多かった。しかし、紗里奈が大和と遥の加護を受けていると学年全員が知るところとなり、今や紗里奈に絡んでくる奴はいない。

それなのに、大和は今も紗里奈を心配して陰ながら見守り続けている。ちゃんと登校しているか、知らないところで絡まれていないか、平穏な学校生活を送れているか……いちいち気にしている。

人見知りで話せないと思いきや、ついに無視するまでに至ってしまったその行動は、すべて好きの裏返しだ。大和が紗里奈に好意を抱いていると知ったクラスメイトたちは、薫に遠慮して前に出ない大和を見てうずうずしていた。