ヤンキー高校に転入した私

大和くんと遥くんのおかげか、私を見て色々言ってくるチンピラみたいなヤンキーはいなくなった。そして、私は次第にヤンキー高校の生活に慣れていった。

相変わらずガラスが割れる音は聞くし、廊下が騒がしいこともある。しょっちゅう喧嘩の声も聞こえてくるけれど、それにも慣れた。クラスの中がうるさくなることはないし、私はそんな環境の中でも落ち着いて授業を受けられるようになった。

それに、1組のクラスメイトたちは、話してみたら優しくていい人ばかりだった。見た目はヤンキーで怖い雰囲気があるけれど、見た目に反して(なんて言っちゃいけないんだけど)勉強ができる人も多くて、わからない問題を教えてもらうこともある。

順風満帆なヤンキー高校の生活だったけれど、1つだけ悩みがあった。

「紗里奈、どうしたの?」

薫くんはよく私を心配して声をかけてくれる。

「大和くんのことなんだけどさ……」
「大和のことなんて考えなくていいよ。あいつは女の子には関わらない。」

それは、なんとなく察している。近くを通りかかったり、すれ違ったりすると不自然に距離を取られてしまう。女の子に慣れていないのかもしれないけど、今の平和な学校生活は大和くんのおかげでもある。私は、どうしたら大和くんと話せるのかを考えていた。

「でもクラスの中で、話したことがないのは大和くんだけなんだよね。この学校に来てから助けてもらってるし、ありがとうくらい言いたいよ。」
「そんなのいいって。無視されるのがオチだよ。」

確かに無視されて終わりかもしれないけど、話してみないとわからない。意外とデレたりするかもしれないし?

(それはないか……)