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「蘭! おはよー」
教室に入ると今日も、蘭はすぐに周りを友達に囲まれた。
その姿を横目に、談笑しているクラスメイトの横を通り抜け、自分の席に着く。
誰かに挨拶をすることもない。誰かが挨拶をしてくれることもない。
ただ自分の席で鞄の中身を机の中へと移し、それが終わると本を読み始める。それが私の朝のルーティンだ。
一方で、蘭は教室の中心でクラスメイトと笑顔で何かを話している。その肩にはまだ鞄がかかったままだ。
こんなにも対照的な過ごし方になってしまったのは、間違いなく私の態度が原因だろう。
双子っていうのは、稀に不必要な注目を浴びることがある。
クラス替えがあって最初の頃は、クラスメイトも私が蘭と双子というだけで興味を示して話しかけてきた。
でもそれは本当に初めだけだった。私の反応が、みんなの求めるものと異なっていたからだろう。
クラス替えから3日も経った頃には、私に寄り付く人物はいなくなった。今では用事があるとき以外は誰1人声を掛けてこようとはしない。
もしあの時、必死で愛想を振りまいていたら、もしかしたらこの朝の時間を雑談しながら過ごせる友達の1人くらいは、できたのかもしれない。
でも幸か不幸か、それが欲しいと思ったことは、これまでに一度もなかった。
「蘭! おはよー」
教室に入ると今日も、蘭はすぐに周りを友達に囲まれた。
その姿を横目に、談笑しているクラスメイトの横を通り抜け、自分の席に着く。
誰かに挨拶をすることもない。誰かが挨拶をしてくれることもない。
ただ自分の席で鞄の中身を机の中へと移し、それが終わると本を読み始める。それが私の朝のルーティンだ。
一方で、蘭は教室の中心でクラスメイトと笑顔で何かを話している。その肩にはまだ鞄がかかったままだ。
こんなにも対照的な過ごし方になってしまったのは、間違いなく私の態度が原因だろう。
双子っていうのは、稀に不必要な注目を浴びることがある。
クラス替えがあって最初の頃は、クラスメイトも私が蘭と双子というだけで興味を示して話しかけてきた。
でもそれは本当に初めだけだった。私の反応が、みんなの求めるものと異なっていたからだろう。
クラス替えから3日も経った頃には、私に寄り付く人物はいなくなった。今では用事があるとき以外は誰1人声を掛けてこようとはしない。
もしあの時、必死で愛想を振りまいていたら、もしかしたらこの朝の時間を雑談しながら過ごせる友達の1人くらいは、できたのかもしれない。
でも幸か不幸か、それが欲しいと思ったことは、これまでに一度もなかった。
