カラフル

 陽は有言実行とすぐさま行動に移した。

 教室に戻って次の授業の準備をする私を自分の席まで呼ぶと、机の上に私の描いた絵の束を置いて問いかけてくる。

「この中で、凛ちゃんがええなって思うのは、どれなん?」

「えっと、上のほうにあるのかな。……この辺まで」

 質問の意図が分からないまま、原画の束を捲りながらとりあえずそう答える。


 私がこの辺までと指定した絵を机の上に広げて「よっしゃ」と陽が呟いた。 そして驚くべき行動に出る。


 なんと「なぁなぁ、うっちー。この中やったらどれが好き?」と、突然前の席に座っている内田に話しかけたのだ。

 突然の行動に驚きのあまり、身動きもできずに呆然と立ち尽くす。


「何? 陽」

 内田は笑顔で振り返ったが、陽の机に並んだ紙を見て「何これ?」と眉間に皺を寄せた。

 その様子を見ながら、掌をギュッと握りしめる。


「何って原画やん」

「へー原画か。原画ね、なるほど……って何の原画?」

「体育祭で作るパネルのやって」


「ああ、パネルねパネル……え? じゃあ、もしかしてこれ全部、一ノ瀬が描いたってこと?」

 内田の大きな声が教室内に響き渡る。


「なになに? どしたの?」

 さっきまで内田と一緒に会話をしていた数人が、その声に反応してこちらを見る。その中には蘭もいた。

 こんなに大勢の、しかも全く話したことのないクラスメイト達に囲まれて、次は一体何を言われるのだろう。そう考えると胃がキリキリと痛み、握りしめた掌がじっとりと汗ばんでくる。


「これ、一ノ瀬が描いたんだって!」

 内田の言葉に耐えられなくなって、目をギュッと瞑る。