カラフル

「パネル責任者っていうのは、パネルの下絵を描いたり、制作作業の取りまとめをしたりする人なんだけど……どうしよう」

 蘭は当惑したような顔つきで呟いた。

 それもそうだろう。先程の説明によると、パネル責任者も実行委員と同等に責任の重い仕事みたいだ。多忙になるのは目に見えている。


 実行委員だって拒絶する声が多数で、2人が引き受けなかったらすんなりとは決まらなかった。だからパネル責任者なんて面倒な役割を快諾する者は、もう誰もいないはずだ。


「ふうん、そういうことかぁ。これって美術部やないとあかんとか、何か決まりあるん?」

 陽がプリントを眺めながら蘭に問いかける。


「ないと思うよ。それにうちのクラスは美術部の子いないから」

 陽が口元に手を当て、「へぇ」と納得したように呟く。


「要するにパネル責任者って、絵が描ける人やったらええんやな? 後の作業はみんなで分担できるみたいやし」

 二ッと口角を上げる彼を見て背筋が冷える。


 ものすごく嫌な予感がする。


「でも陽くん、その絵が描ける人っていうのが」

「おるやん? 適任者。な、凛ちゃん」

 予感は見事に的中した。


 みんなが一斉に私を見る。

 満面の笑みを浮かべて私を見る陽に対して、「ムリ」と口をパクパクさせて、全力で首を横に振る。